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コロナ分類 2類から5類相当への変更に関して医療の側面で考えました。

1.分類のダウングレードとは ー2類から5類へ―
分類に応じた対応策は次の通りであるが、病原体の特性に対しての行動分類ではなく分類ごとの行動規制の一覧である。病原の特性(例えば空気感染なのか飛沫感染なのか等の感染経路や感染し易さ、感染時の症状や重症化等)に応じてどの分類が相当であるのかが不明確であり、現コロナ禍がどの分類に当てはめるべきかの理解が進まない。

一般論としてダウングレードするという事は、毒性が安全になったという事で、それに応じて人流や社会活動の制約が緩くなるのは理解できるが、なぜ2から5に変わったのか、生命安全上、国全体から見た場合のリスクがどの様に下がったのかが分からない。本来は変異した病原体の特性の安全度合によって分類が決まるはずである。分類がダウングレードすると言う事は、安全になったという事の表れであり、当然メリットが発生しデメリットは存在しない。つまり「感染のし易さ」と「重篤性」を勘案して生命安全上の懸念が薄らいだという理解である。

2.ダウングレードの影響
現コロナは「罹患のし易さが圧倒的に高くなった事」(マイナス要因)、「重症化リスクが低くなったこと」(プラス要因)を示し、5類に相当すると言うエビデンスまたは理論を示して国民の理解を得る必要がある。そこから社会生活に対する規制の許容範囲が見えてくる。

<メリット>
①通常医療に戻りつつある
・保健所負担の軽減(つまり保健所まかせで無くなる)
・コロナ禍独特の事務処理作業が無くなる(入院などの指示)
・コロナ以外の診療が通常に戻る。
 (これまで先延のばしいていた計画的な手術が可能となる)
・コロナ対策の為の医療費や病院の負担は下がる。国の支出も下がる。
・開業医で診断ができる事から重症者の観察、待機状況、入院先を探す、近隣の開業医同士で情報の共有や連携ができる。更に入院待機中でも診療が受診出来る。
・自宅やホテルで重症な方の待機が減る。
・患者への責任所在がはっきりする(一旦、診察した患者への責任が発生する為)。

②経済活動
・経済活動が元に戻る。
・補助金支出が下がる。

<デメリット>
基本的には無いと考える。敢えて言うなら、ダウングレードを行う事で感染の再燃リスクを受け入れざるを得ないと言う事である。
 集団免疫が付いて感染しないのであれば良いが、人流が元に戻ると市中感染が再発する可能性もあり、ダウングレードの時期を読み違えた場合、感染力が高いオミクロン株では、医療リソースのひっ迫を招く。またオミクロン株の後遺症が不明であるのに罹患者を増やす事となる。更に再び飲食業への営業自粛やこれに伴う経済の疲弊が想定される。他にも自宅患者が増えて更に家族への罹患リスクが高くなる。最悪は医療崩壊や社会保障費の破綻に繋がる。その結果ダウングレードへの不満が発生し、真にダウングレードが必要な時に思い切った対策が出来なくなる(悪しき教訓となる)。
上記に加えて、
・コロナ対策が出来ていないクリニックなどで感染が発生する。
・感染拡大の把握が出来ない。
・医療保険診療の為、原則3割負担となる。
但し、2類から5類へのダウングレードがなされる時は収束していて感染具合の把握が不要であり治療方法もインフルエンザ並みの自己負担であり大きな社会的な混乱が無いとの前提である。なので、このデメリットは原則的には発生しない。

3.まとめ
現状から見て、ここ数ヶ月は他国と比べて日本は安全策を取って来たため、最小限の医療崩壊で難関を切り抜けた。これはマスク指示に代表される様な国民の理解力や国民性、国の休業補償による人流の抑制と民間の感覚での創意工夫、テレワーク、Zoomなどのウィズコロナ、アフターコロナ等の新たなビジネス形態の恩恵である。
2種から5種へのダウングレードの議論は、今後起こり得る新たなパンデミックを想定すると重要であり、どの時期にどの様な方法でダウングレードすれば一番効率が良かったのか等の総括が必要である。
ダウングレードをすべきか否かはコロナ禍の現状が分類の定義に入っているかである。それには各分類における感染力、重篤性、社会的影響などの度合いの定義を根拠立てて分かり易くする必要があり、そうなれば自ずと分類は決定する。今の議論は、現状を2類または5類に落とし込むための根拠を模索している状況である。今の分類方法は病原体が決まれば分類も決定する。変異する病原体に対するルールに関して再度整理する必要がある。

あくまでチーム一谷、一谷 勇一郎の個人的意見です。

 

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藤田文武幹事長(対策本部長)、梅村聡参議院議員(対策本部事務局長)が
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