· 

鞄デザイナー様を訪ねて、お話を伺いました。

鞄デザイナーを訪ねてお話を伺いました

1.日時:令和3年3月19日 13時~14時

2.場所:ご自宅の工房

3.訪問先:中尾 様  

 

一谷:

神戸の街を再発見し、その取り組みにスポットを当て神戸ブランドを再び世界に繋げていきたい。そこで、本日はオーダーメイドの鞄を自らデザインして展示、販売をされて方にその魅力を教えて頂こうと思います。

 

早速ですが、このお仕事を始めたきっかけは?

 

中尾

服飾の専門学校を卒業しましたが、実は服作りよりも、むしろスタイリングが好きでした。そこで、進路をスタイリストの事務所に決め、撮影時のコーディネートの仕事をしていました。服よりも小物やいわゆるグッズに興味がありました。

 

一谷:

そのアイテムの中に鞄があったと、そこから今に至ったのはどの様な経緯ですか?

 

中尾:

すべて独学で、自分の感性と少しYouTubeも参考にしながら勉強しました。実は、私には鞄づくりの先生は居ないのです。現状に至った大きなきっかけは、大手アパレルメーカーを退職された起業家マインドをお持ちの方が居られ、その方からのお声がけです。ハンドメイドをなされている、数人にお声がけして、私たちの作品を京阪シティーモールに長期間出展して下さりました。

 

一谷:

どの様な方々をターゲットに展開されていますか?

 

中尾:

今の若い人はインターネットで情報を手に入れ好みのブランドを購入します。例えばインスタ映えするような韓流ブランドでおしゃれな人が使っている者が良いと決めつけています。

 

一谷:

だから、多様性が必要であると言われているのに、同じような服装の若者が多いのですね。

 

中尾:

私は、プラダが好きなので革新的なデザインに魅力を感じます。例えば「革」と「ナイロン」の融合とか、「帆布」と「スカーフ」です。私と同じような世代のプラダが好きな少し高めでも購入できる方がターゲットです。

 

一谷:

若い人が、高価な物に手が出せないのは、給与に占める社会保障費の割合が高く、手取り給与が上がらないからだと私は思っています。

 

中尾:

教育費も高いですしね。私の娘は今、高3ですが、将来就職して、この教育費に見合った収入が得られるのかと不安になります。

 

一谷:

私が専門の医療・介護の分野でも同じです。120人程の生徒が通っていますが、学費が400~500万円ほど掛かります。回収できるのかと私も心配です。これは、カリキュラムが高度化して教師陣の人件費が高くつくからだと思います。ここまでお金を掛けても、入学の動機を尋ねると、「親に言われた」「就職に困らない」が半数を占めます。フワッとした動機で社会に役立つ人材育成ができるのかは疑問です。それに、卒業しても、気質的に不向きで就職できない人が一定数居ます。自分に合った好きな事を職業に出来に難いのは政治と教育が切り距離があるからだと私は考えています。

 

中尾:

私の娘は技術が好きなので歯科技工士になりとの事です、楽しみです。

 

一谷:

さて、鞄の話に戻りますが、コロナ禍の影響は有りましたか?

 

中尾:

事業としてはコロナの最中に始めたので以前との比較はできません。真っただ中の11月に、湊川や三ノ宮のピアザマルシェで開催されたハンドメイド・マルシェに2点出展させて頂きました。その折に「昔はもっと人が多かった」とお聞きしました。コロナの影響ですね。始めたばかりなので、今は名前を広めることが重要であると思っており続けています。

 

一谷:

神戸バッグの特徴は何ですか?

 

中尾:

バックと言うか、神戸の人はハイカラが好き、保守的、例えばファミリアが好きで控えめな人が多い。冒険心は無く、シンプルだが派手好き。

 

一谷:

それなら一度受け入れられると飽きられにくいと思います。大阪人は直ぐに飛びつくけど直ぐに飽きます。(私の主観)モノの真価を分かってもらうには時間がかかるが一旦受け入れられると顧客になってもらえる。しっかりと根付くんですね。神戸には日本初と言うものが多いのにも頷けます。

 

中尾:

神戸は高くても気に入ってもらえれば買ってくれます。

 

一谷:

良いものを長く使うのですね。SDGSから考えるとその方がいいですね。安いものを大量に作ると廃棄ロスと言う弊害がある。それに、ハンドメイドなら修理もできますね。さて、次は後継者の問題ですが、何方かいらっしゃいますか?

中尾:

今は後継者よりも、工業製品として商品化したいです。手作り製品が工業化されるとどの様に変化するのか、例えばステッチが工業化されるとどうなるんか、そちらに興味があります。

 

一谷:

同一モデルでも、ハンドメイドと工業化されたもの、区別出来る、2ラインは面白いですね。

 

中尾:

でも、女性はデザイン重視で、男性は工業化・規格化が好きなかと思います。

 

一谷:

次に神戸ブランドに関してですが、世界的に見ると、海外からは東京は知っていても、他は余り知れていません。せいぜい京都までです。大阪が知名度が上がっていますが、神戸は世界では余り知名度が高く無いんです。関西万博で名前を売りたいのですが、どうすれば良いとお考えですか?

 

中尾:

セレクトショップと言われているバーニーズやユナイテッドアローズでも同じ様なものばかり売られているという感じで。神戸も同様で新しいものになかなか手を出さずに、面白みに欠ける。オリジナリティのある物が少なく、一歩が踏み出せずに同じところで足ふみをしている。神戸のイメージはと問われると、いつも「おしゃれな街並み」となる。昔は「おしゃれな人」「おしゃれなファッション」であったのに。新しいデザイン発想を持った人が集まれば変わっていくと思う。

 

一谷:

海外ブランドとの違いは?

 

中尾:

全く違う、海外は自分の作りたいものを作り人の目を引く。神戸は他人と同じものを着ていると安心する。人と違う事を表現するのがデザイン力であると思うのですが。

 

一谷:

同じものが好まれるのは商業ベースで考えているから?大手はビジネス化を求めるからでしょうか?

 

中尾:

 そうだと思う。

 

一谷:

ここを打破しようと思うと、行政の力が必要ですね。個人事業者への支援が必要。今の神戸の街には空き事務所が目立つので、そこに入居してもらって活性化につなげたいですね。

 

中尾:

アクセサリーを作っている友人も店舗を持つリスクよりも間借りを好み、今、マルシェは結構な賑わいを見せているそうです。

 

一谷:

そう言えば、先日、食品のマルシェに行ってきました。美味しかったが、神戸の人の認知は少ない。地域の繁栄を考えると地域経済の足腰を強くする必要があるが、行政は湾岸のロープウェイやフラワーロードに川を引くとかバスターミナル整備を考えている。成功するかどうかは疑問に思います。

 

中尾:

ルミナリエの時にモザイクの所に大きなツリーがあったが枯れているように見えた。大金を費やした割には、いかがなものかと感じた。間違った予算の使い方だと思います。

 

一谷:

行政側の企業意識の欠如か。大阪では大阪城にモトクロスコースを作ったりして活性化に繋げました。

 

中尾:

広報も下手なのか?インスタグラムは繋がっている人にしか情報は届かないでしょ。

 

一谷:

さて、神戸の良い点は?

 

中尾:

山と海が近いこと。山の手以外は結構、冬でも暖かい。街並みが良く道も広い。

 

一谷:

自然にも触れやすいですね。次に行政に求めるものは?

 

中尾:

税金の使い方をもっと分かり易く透明にして欲しい。

 

一谷:

最後の質問です。維新に求める物は?

 

中尾:

大阪のイメージが強い。吉村さんが好き、若いと言うイメージです。若いと直ぐに行動出来る。

 

一谷:

維新の議員は議員であるという事に拘らない。つまりは具体的な身の回りの課題解決の手段が議員と言う手段だと考えています。但し、国防や外交などは別。また、政治家は課題を見つけその解決の為の方向を決め、具体的な解決策を考えるのが官僚であると考えています。

 

本日はありがとうございました。

 

 

最後に、急なお願いでしがた、快諾して頂いた中尾様に感謝です、そして、手作りのバックはとても素敵でした。

 

大量生産、大量破棄ではない、個性が活かされ、修復して長く使える、この様な考えを広げて行きたいと個人的な感想を強く持ちました。